【2021年4月版】株価暴落の兆候を知るためにチェックしたいこと
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しかし株価だけは堅調という事態が続いています。
この要因としては様々な分析がでていますが、私としましてはその中からこれらが要因ではないかと考えています。
株高の要因につきまして
金融緩和によるゼロ金利の継続
現在主要国のほとんどすべてが大規模な金融緩和をしており、一部途上国で金利引き上げが小規模に行われたものの、依然として長期・短期金利ともにゼロ金利が続いています。日銀も3月19日の日銀政策点検にて、長期金利の許容変動幅を明確化し、その変動幅を「プラスマイナス0.25%程度」とすることを声明に明記しました。これにより銀行株が大きく買われました。
しかし0.25%です。銀行に預けてもお金が増えないとなれば、民間の資金の行先は自然と株式市場になってきます。
金融緩和の一環としての官製相場
日銀は3月19日の日銀政策点検にて、日経連動型ETFの購入枠原則年6兆円の目安をなくし、上限を12兆円とする文言のみ残しました。これは日銀のETF保有額は昨年9月末までに計34兆円、時価で40兆円を超え、その時点で間接的に持つ株式は東証1部全体の7%を占めるまでとなり、「官製相場」との批判が出てことが要因です。また同時に不動産投資信託(Jリート)の買い入れも同様に、購入ペースの年900億円をなくし、上限の1800億円のみにしました。
こうした日銀マネーの撤退は小規模な下落はあったものの直ぐには相場に反映されませんでしたので、当初影響は限定的とみられていました。しかしタイミング悪く、米株式市場の大幅下落が3月24日に起こり、これに引きずられ日経は大きく値を下げました。
やはり日銀の買い支えは効果はかなり大きかったんではないでしょうか?元々株価指数に連動するETFを中心に購入されていたため、これをしなくなったことで株価を支え切れなくなっているのだと思います。
業績の悪化は非上場の中小企業に集中
大手企業の業績は回復の兆しが見えてきているとの報道もありますが、東証に上場していない中小企業はいまだ業績を回復できていないと言われています。飲食は特にその傾向が顕著と言われております。ですので日経平均やTOPIXといった株価指数は実体経済を反映していないと思われます。また上場企業の中でも日経平均株価を押し上げた上位5銘柄とそれ以外の220銘柄で比較すると、。寄与度上位5銘柄が約70%上昇している反面、それらを除いた日経平均220は年初から約5%のマイナスです。日経平均株価を構成する銘柄のうち2020年初比で株価が上昇したのは3割強に留まり、残りの6割弱はマイナスでした。
バブル崩壊を予見するために -長短金利差-
米国中央銀行をはじめ各国でバブル相場を軟着陸させようという試みが2021年3月ごろより見られるようになりました。そして各国で景気刺激策と同時に増税の話がではじめました。なりふり構わない経済対策が終焉を告げることで、今後バブル景気の崩壊もあると個人的には考えています。バフェット太郎さんによれば。過去バブル崩壊の直前には、米国債の長期金利と短期金利の差が拡大するようです。下のグラフは米10年債利回りを米3カ月物債利回りで差し引いた、長短金利差の推移を表したものです。ちなみに、グレーの網掛け部分はリセッション(景気後退)局面を表しています。
【長短金利差:2000ー2021】
※URL:https://fred.stlouisfed.org/series/T10Y3M
これをダウ平均と重ねてみました。すると今回のコロナは除き、確かに株価指数下落前には長短金利差の拡大が起こってから下落が起こっています。このグラフで1を超えたあたりからダウ平均は下落を開始しています。大きく下落に転じるのは3%を超えたあたりのようです。
今回のコロナの下落直前にも実は金利差は一気に開き、1%を超え1.5%に瞬間的に迫りました。これがコロナを見越しての金利差拡大なのか、偶然なのかはわかりません。
尚、1980年からのグラフを見ていると面白いことに、日本のバブル景気崩壊あたりでもアメリカって景気後退していたんですね。1987年のブラックマンデーに端を発する景気後退です。
【長短金利差:1980ー2021】
そして景気が冷え込むとどこのお国でも緩和政策をとるようで、それでこの景気後退局面で短期金利を下げ、その結果長短金利差が生まれるんですね。なるほど、納得。
バブル崩壊を予見するために -指数でみる予兆「S&Pケース・シラー全米住宅価格指数」-
これも面白いことに、日本でもアメリカでも過去、不動産バブルの崩壊がバブル景気崩壊のトリガーの一つとなってきました。2008年の金融危機では、株式市場の暴落に先駆けて不動産バブルが崩壊しました。そしてサブプライムローン、この時も住宅価格は上昇しました。当時は2000年のドットコムバブル崩壊で打撃を受けた米国経済を復活させるために、消費を拡大させることで経済成長を取り戻そうと、不動産市場のテコ入れを図っていたそうです。
そのために生み出されたのが、低所得で担保を持たない人でも借りられる「サブプライムローン債」です。担保がないということは、貸し倒れリスクが高いということで、そんな債権誰が買うんだと思うんですけど、これ、証券化して優良債権にすこしずつ混ぜてばらまいたようですね。
そしてこれが「S&Pケース・シラー全米住宅価格指数」の2000年~2021年の推移です。
■URL:https://jp.tradingeconomics.com/united-states/case-shiller-home-price-index
これにダウ平均を重ねてみると、確かに景気後退局面に入る少し前に住宅価格の下落が開始していますね。
そうなるとこれが天井を付けたあたり、下落局面となったら危険な信号と言えますね。
バブル崩壊を予見するために -指数でみる予兆「ヒンデンブルグ・オーメン」-
この「ヒンデンブルグ・オーメン」ですが、米国市場の株価急落を予兆するシグナルとして知られています。その判断材料としては、4つあり
1.ニューヨーク証券取引所(NYSE)での高値更新銘柄と安値更新銘柄の数が共にその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.2%以上
2.NYSE総合指数の値が50営業日前を上回っている
3.短期的な騰勢を示すマクラレン・オシレーターの値がマイナス
4.高値更新銘柄数が安値更新銘柄数の2倍を超えない
これらすべてを満たすと暴落の可能性が高いとのことです。
そしてこのインジケーター、「tradingview」で普通に見れました。すごいね、「tradingview」。
これがヒンデンブルグ・オーメンを表示したところ。
拡大してみます。こうやって文字ででるんですね。
見てみると、左の方で1回反応しているのがわかります。でも少し上がっているやないのかと思いますが、そもそもヒンデンブルグ・オーメンは一度点灯したら、数週間から1ケ月は警戒するもののようで、その定義で言えば、画面右のコロナによる暴落を予見したともいえます。
尚、コロナによる暴落を予見したのを最後にサインはでていません。これがでたらバブル崩壊に注意しましょう。
バブル崩壊を予見するために -指数でみる予兆「VIX指数」-
世間一般では上のヒンデンブルグ指数とVIX指数の双方が反応すると、相場が下落する兆候と言われています。この「VIX指数」は「恐怖指数」やブラックスワン指数とも呼ばれています。内容はシカゴ・オプション取引所(CBOE)が発表しているもので、投資家が株価の先行きにどれほどの振れ幅を見込んでいるかを示す「株価変動率指数」です。
過去、株価が大きく暴落する時にこの数値が上昇しています。
先のヒンデンブルグ指数を表示したまま、S&P500の同じ期間のグラフを表示し、VIX指数を比較で出してみると、こんな感じになります。
オレンジの線がVIX指数の変動です。動きが大きい割にあまり下げていない場合もあれば、まだ数値が高いのに拡大局面にあることもあります。ヒンデンブルグ指数も同様に、やはり擬陽性はあるようですね。
尚、VIX指数は通常10〜20の範囲内で動くとされ、30を超えてくると警戒領域と判断されます。2020年3月の新型コロナショックの相場急落局面でのVIX指数は85.47まで上昇しました。
まとめ
今回色々な兆候を調べてみましたが、1つの指標ではやはり確実な兆候は得られません。ですので、複合的に見ていき、できれば今回のバブル相場の根底に何があり、何が株価を支えているかを理解しながら、テクニカル分析的な指標を見ていくと一番確実にバブル崩壊の兆候をつかめると感じました。
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