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日本はかつて家電王国でした。しかし韓国に抜かれ、中国に抜かれ、いつしかただの組み立て工場に成り下がりました。特にテレビはかつて輸出品の大きな部分を占めていましたが、今や中身は外国製です。

その証拠に、2010年にパイオニアがテレビの生産から撤退したのを皮切りに、2012年 日立、2013年 、三菱(台湾のメーカーへ委託生産に変更)、2014年 ソニー、2015年 パナソニック(委託生産に変更)、2015年 東芝(ハイセンスに委託生産へ変更)、2015年 シャープ(ハイセンスに委託生産へ変更)と、2015年までに日本の主要家電メーカーはテレビの生産をやめました。

今皆さんが国産と思って買っているのは、中身は中国か台湾のメーカーで生産したものです。

シェアで見る、液晶パネル
ではテレビの一番重要な部品、パネル(画面部分)のシェアはどうなっているのでしょうか?
2020年のデータをまとめてみました。

中小型液晶パネル(10型程度以下)

1.京東方科技集団(中国) 19.5%
2.天馬微電子(中国) 15.9%
3.ジャパンディスプレイ(日本) 12.3%

大型液晶パネル

1.京東方科技集団(中国) 22.9%
2.LGディスプレー(韓国) 17.2%
3.友達光電(台湾) 11.9%

有機ELパネル

1.サムスン電子(韓国) 64.3%
2.LGディスプレー(韓国) 22.4%
3.京東方科技集団(中国) 7.5%


こうやって数字で見ると、日本はもはやゲーム機やスマホの液晶でしか見かけないレベルでシェアを失っています。

日本の大手テレビメーカーの実情
日本メーカーの現状についてまとめてみました。各社パネルについては厳密には公開されていませんので、あくまでネット上の情報を総合するとこうではないかという情報です。

SONY

一度撤退したテレビ生産を高価格帯の製品のみ自社生産に切り替え、マレーシア、中国、ブラジルで生産。新製品の開発は神奈川、マレーシアの研究センターで行っている様子です。
〇有機EL:パネルはLG製。
〇液晶:パネルはサムスン電子、友達光電、奇美電子。

Panasonic

大型液晶テレビや有機ELテレビについては、国内宇都宮工場で自社生産を継続。
低価格帯は中国・TCL集団に委託。
〇有機EL:パネルはLG製。制御系は高級機のみ自社。
〇液晶:パネルはLG製。

三菱

高価格帯のみ京都府長岡京市で自社生産を継続。
低価格帯は委託生産。

〇有機EL:パネルはLG製。
〇液晶:パネルはサムスン電子製。

シャープ

ニュースでもご存じかと思いますが、台湾の鴻海科技集団傘下となっています。
高価格帯向け液晶パネルは大阪府堺市堺区の工場で生産、三重県亀山市の工場で組み立てを継続。
〇有機EL:パネルはLG製。
〇液晶:パネルは60インチのみ日本製。その他は韓国もしくは中国製。小型液晶は台湾製。

東芝

中国の海信集団(ハイセンス)の参加となっています。レグザの特許などは親会社のハイセンス製品にも使用されているので、ここのメーカー買うならハイセンスのを買った方が安いです。
〇有機EL:パネルはLG製。
〇液晶:ハイセンスまたはサムスン製。


価格から見る日本製と海外製
パネルをLG製品が半数以上を占めているため、比較がしやすい4K 有機ELモデル 65インチ 一番安いモデルで各社の価格を比較してみます。値段はAmazonで調査、2021年9月中旬の同日で比較しています。

メーカー名 型番 登場年 価格
LG OLED65B1PJA 2021年 229,800(Amazon)
SONY XRJ-65A80J 2021年 400,000(Amazon)
Panasonic TH-65JZ1000 2021年 394,858(Amazon)
シャープ 4T-C65DQ1 2021年 369,091(Amazon)
東芝 65X8900K 2021年 330,000(Amazon)

一応各社、制御系は自社で作成していますが、パネルが一緒ならそんなに画像は変わらないと思いますので、LGの23万とパナソニックやSONYの40万、ほとんどブランドにお金払っている感じになっています。


まとめ
日本では残念ながらもはや海外の部品を組み立てるだけになっており、その重要パーツであるパネルは中国・韓国でほぼ独占されている状態です。この状態で日本製品にこだわるのは最早好みの問題であると思います。

私は次回リビングのテレビ壊れたら、LGのモニタを買おうと思います。国産の半額くらいですしね。