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ラストキングダム シーズン5 -背景の補足と後日談の映画「Seven Kings Must Die」-

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2015年にシリーズ1作目がBBCによって作成され(第3シリーズよりNetflixに権利売却)、2021年、遂に完結を迎えたラストキングダム、日本ではNetflixで2022年3月に公開されました。このシリーズは史実を基に書かれた「The Last Kingdom」という小説が基になっており、西暦866年より物語が始まり、エルヘルム(Æthelhelm)の反乱直後までを描いています。

The Last Kingdom」という小説は、史実を基にしたフィクションであるので、例えば主要な人物のウートレッドやブリダは架空の人物です。第5シーズンの主要な人物であるエルヘルム(Æthelhelm)についても、モデルとなった人物の候補が複数あったりします。

今回の日記では、シーズン5に出ていた主要人物の史実で確認できる内容をまとめてみました。


ウェセックス・マーシアの王朝のその後 -エドワード長兄王とアゼルスタン-
第5シーズンでウェセックスの王であったエドワード長兄王(874年~924年)は実際に存在しており、ウートレッドが庇護下においたアゼルスタンはエドワード長兄王が924年に反乱鎮圧の途上でなくなると、最初にマーシアの王となり、翌年エセルウェルドが王となったウェセックスを併合、927年にデーン人(バイキング)制圧下にあったヨークを制圧、934年にシーズン5ででてきていたコンスタンティヌス2世を下し、ここにイングランドの統一は達成されました。937年、デーン人(バイキング)の反撃にあいますが、Brunanburhの戦いにてこれを撃退し、完全にイングランドを統一します。


ノーサンブリア王シグトリグル(Sigtryggr)
個人的に好きなキャラクターと言えば、このシグトリルです。彼は実在し、ダブリンより追放されたヴァイキングの一団にいたシグトリルは917年、艦隊を率いアイルランドへ上陸、付近を制圧します。その後ダブリン王として君臨します。この辺りはシーズン4でデーン人(バイキング)を率いてうートレッドと戦ったエピソードがこれにあたるんでしょうね。

919年、シグトリルはアイルラドの本格的な征服に臨み、アイランドブリッジの戦いにてアイルランド王連合に勝利しました。これはラストキングダムには出てこない逸話です。

その後、シグトリグルはノーザンブリア全域を制圧、エドワード長兄王と対峙します。これ、、ウートレッドが行ったシーズン5最後のノーザンブリアの独立の元の話になっているかもしれませんね。

史実ではシグトリグルは死亡せず、アゼルスタンの姉妹と926年に結婚しています。そしてキリスト教に改宗しました。927年にシグトリグルは死亡します。その後、その子がダブリン、ノーザンブリア、リムリックの王として後を継承しました。


ラストキングダムの後日談 -Seven Kings Must Die-
2022年1月よりNetflixにて撮影が開始された後日談の映画「Seven Kings Must Die」についてです。2022年後半または2023年初頭から半ばに初公開される予定です。日本での公開はそのしばらく後になりそうですけど。

詳しい内容はまだわからないそうですけど、おそらくこの家系図にある7人の王たちについて掘り下げるんだと思います。ウートレッド側の視点ではないとかそんな感じなんでしょうかね?
the-last-kingdom-who-are-kings-seven-kings-must-die-3





Netflixのドキュメンタリー「ウィンター・オン・ファイヤー」を見て思うこと -ウクライナ マイダン革命と今回の戦争-

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このドキュメンタリー、見るのは2回目です。以前見た時には、ウクライナ人が自由を勝ち取るために立ち上がった姿に感動したものです。

あれから数年が経過、今ウクライナとロシアの戦争が始まってみて、このドラマの存在を思い出し、もう一度見てみました。
netflix

見直してみると、そもそもの今回の戦争の発端の一因と、現在ウクライナ軍があれだけ頑強に抵抗している理由が少しだけわかった気がしました。
このドラマについては、実際の映像を編集したものですので、ネタバレとかあまりないと思いますから、この映像を基軸に今起こっていることの考察などしてみたいと思います。


近世ウクライナの歴史 -概略-
ウクライナは帝政ロシア時代に併合された後、継続的な独立運動や闘争がつづいていましたが、ロシア革命の混乱に乗じ、1年という短い期間ながら独立しています。

その後、ソビエト連邦に徐々に取り込まれたが、1991年のソビエト連邦崩壊の混乱に乗じ再び独立します。

2004年の大統領選にて、新ロシア派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ首相が当選するも不正選挙の疑いがあるとのことでオレンジ革命が勃発、。再投票の結果、ヴィクトル・ユシチェンコ大統領が誕生しましたが、2010年のウクライナ大統領選挙で先ほどのヤヌコーヴィチが大統領になります。

そして今回のドラマの舞台である「マイダン革命」へとつながります。


マイダン革命 -ウィンター・オン・ファイヤーの世界-
2013年11月にヤヌコーヴィチ政権が欧州連合(EU)との政治・貿易協定の調印を見送ったところからドラマで描かれているように進行します。

独断でEU加盟を反故にした大統領に議会が反発、国民もFacebookで抗議のために首都でのデモを企図しますが、政府はこれを警察の特殊部隊を使って弾圧、これはSNSを通じて拡散され、反政府運動は拡大、100万人超の国民が国会議事堂西の広場に陣取り抗議活動を継続しつづけます。

翌2014年になり、何度か失敗している国会議事堂へのデモ行進を民衆が試みたところ、政府は実弾を使用し民衆の殺戮を開始、これに対し、ウクライナ軍退役軍人を中心に訓練された民衆が火炎瓶と投石で反撃しますが、死者が多数出たことに対して怒った民衆が大統領の辞任を要求、認めなければ武力闘争に移行すると伝え、ヤヌコーヴィチ大統領はロシアに亡命します。

ここまでがドラマで描かれている内容です。


マイダン革命後、今回の戦争に至るまでの経緯
ロシアはこのマイダン革命とそれに伴う次期大統領選挙を違法と断定、クリミア半島への進駐を開始します。ここで今回のウクライナ侵攻でも用いた論法である、ウクライナ右派からの親ロシア派住民の保護です。

マイダン革命直後、この革命に反対するクリミア住民の一部が抗議しクリミア自治共和国最高会議を発足、議会をロシア兵と共に占拠し、「クリミア共和国」が発足。3月16日に住民投票が実施され、9割以上の賛成票が投じられたと選挙管理委員会が発表、その翌日17日にはロシア議会でクリミア半島の併合が発表されました。

これに対し国連安保理は、そもそもの住民投票を認めないよう決議を行うもロシアの拒否権発動でこの決議は成立しませんでした。この時、この国連安保理以外にどこもウクライナ側に立って具体的に動くことがなかったことが、その後ウクライナのNATO加盟を促進する結果となったと思います。

この時の成功体験がロシアを強気にさせたのでしょうね。今度はロシアと国境を接するウクライナ東部の独立を要求されます。


ウクライナの気概の根源
ここまでの経緯を簡単にまとめて感じたのは、市民が命がけで独立を勝ち取った国と、戦後共産主義への防波堤としての役割を期待されて独立を与えられた国の意識の違いがあるため、本当の意味でウクライナ人の覚悟を理解できる人は日本人にはいないのではないかと思います。

今回の「ウィンター・オン・ファイヤー」の舞台となったマイダン革命では、780名もの死者・行方不明者がでています。警察は実弾を民衆に対して使用しました。それでも屈せずに2014年というまだ最近に革命を成し遂げたウクライナの人々が国家を守ろうと立ち上がるのは必然のような気がします。


ニューズウィーク日本版 3/8号 特集 総力特集ウクライナ戦争 ウクライナ[雑誌]
ニューズウィーク日本版編集部
株式会社CCCメディアハウス
2022-03-01


The Last Kingdom のシーズン4 物語の背景につきまして

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The Last Kingdam の新シーズン、ネットフリックスに来ていますね。
シーズン4を見終わりました。
今回はエドワード長兄王時代についての物語になっています。The Last Kingdom は、史実に着想を得た物語となっています。実際のエドワード長兄王はどのような人物であったのか、調べてみました。

即位までの経緯 -シーズン3までの内容-
The Last Kingdam のシーズン3では、先王アルフレッドの死とこれに伴う王位継承戦争について描かれていました。史実でもこれは起こったようで、シーズン1と2でアルフレッド王と王位継承権を争ったり、邪魔したりしていたエセルウォルト(アルフレッドの兄)が、王位継承を主張し、エドワード長兄王と戦いました。

年代記を見ると、900年にエドワード長兄王が戴冠、これに反発したエセルウォルトは、ドラマ内にあるようにデーン人を扇動し、901年に戦いを挑みます。しかし敗北し、処刑されます。
これによりウェセックスは再びエドワード長兄王の元で統治されることとなりました。

ここまでがシーズン3の内容です。
以前書いた日記で、シーズン3までの内容を元に少し解説書いています。興味ある方は見てみてください。
■過去日記:The Last Kingdom を見て面白かったので、ウートレットの生涯について調べてみました

即位までの経緯 -シーズン4の内容の背景-
シーズン4は、エゼルレッドの北征に端を発するマーシア王国はその首都を占領され、これにエドワード長兄王の姉、エゼルフレドが民兵を招集し、戦いを挑むという流れになります。

あまり詳しく話すとネタバレになりますので、今回は物語にでてこなかった背景について語りたいと思います。

まず下図は西暦900年のイングランドの勢力図です。物語ではマーシア王国は独立した国として描かれていますが、解釈は多くあるものの、アルフレッド大王の盟友エセルレッド2世が即位した時点で、ウェセックス王国の保護領化したというような扱いをしているソースが多くありました。
なので、この地図も、マーシア王国の版図はウェセックス王国の一部として描かれています。
MapAD900

話の内容より、おそらくはこのシーズン4は西暦900年~913年くらいの間の物語だと思います。
この頃の歴史を調べてみても、結構あっさりとした記述しかありません。

シーズン4の最後にウィンチェスターの開放を成し遂げますが、このウィンチェスター、どうやらこの時代何度か陥落しているようです。ただ910年にウェセックス・マーシア連合軍にデーン軍が大敗北を喫するという記述が年表にあり、おそらくこの連合軍がシーズン4最後の戦いのようにも思えますが、マーシア王国軍が旧領内のデーン軍を一掃するのが916年とありましたので、物語のセリフから、916年ころまでのお話かもしれません。

これ以上は年表を見ない方がいい -シーズン5の内容がわかってしまった-
もしシーズン5があるのなら、ここから更にドラマチックな内容になりそうです。
年表を見ていると、おそらく後継者争いが再びあったり、マーシア王国が大変なことになったりしそうな予感がします。

でも今後の展開をネタバレしたくない皆様はあまり深追いしない方がいいかもしれません。
背景をしりたくて色々調べるうちに、だいぶん先の話の背景を知ってしまいました。

ああ、調べなきゃよかった。






The Last Kingdom を見て面白かったので、ウートレットの生涯について調べてみました

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ここ1週間、毎日空き時間に見てきた「The Last Kingdom」、ついにシーズン3まで見終わりました。
久しぶりに面白い、見ごたえのある作品でした。

■ラストキングダム 予告編:


見終えてから、このドラマの主人公であるウートレットという人に興味をもって調べると、日本語の情報がまったくない・・・
そもそも、物語の始まりの地、ベバンバーグを検索しても出てこない。

そこで物語の舞台である9世紀前半のイングランドの地図を探すところから始めました。
みつけたのが、この3つ。

■アルフレッド大王の時代のイングランドの地図:
mapalfred1

■9世紀のイングランドにいた各勢力の支配地域:
kingdom-of-guthrum

■大異教軍(主にヴァイキング)の侵攻ルート:
537px-England_Great_Army_map.svg

うーん、それらしい地名はないですね。
でも調べている過程で、どうやらベバンバーグというのは、「Bebbanburg」という英語表記が正確なものであるとわかりました。

そして現在の地名では、Bamburghという場所で、物語にでてきたベバンバーグの城も現存しており、Bamburgh Castle(バンバラ城)という名前で見つけることができました。
Bamburgh_2006_closeup

そして地図上ではここの位置であることも分かりました。
1920px-Northumberland_UK_location_map.svg

ずいぶん北の領土なんですね。
そして英語版Wikiにて、ウートレット・ベバンバーグの名前を見つけることができました。

■ウートレット・ベヘンバーグ:https://en.wikipedia.org/wiki/Uhtred_of_Bebbanburg

これによると、ウートレットは架空の人物で、そのモデルとなった人物は10~11世紀に存在した「Uhtred the Bold」(大胆なウートレット)という人がモデルのようです。

そしてこのラストキングダムの元となった小説「ザクセン物語」の作者は、イギリスの創世記のようなものを書こうとしたようですね。
そこで9世紀のイギリス史上で有名なアルフレッド大王と、ウートレットという10世紀の有名人の人生を物語の主軸に据えて、イギリス建国史を書いたとコメントがありました。

物語は架空のものでしたが、元となる人物像があったことで、設定に深みがでて、見ごたえがある物語に仕上がったんだと思いました。

汚れた真実 -Netflix-

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Netflixのオリジナルドキュメンタリー「汚れた真実」がかなり見ごたえありました。

これは6回シリーズのドキュメンタリーで、扱うのはBMWの排ガス規制逃れのような下手をすると訴訟をNetflixが受けるかも知れない内容です。
NetFlix

日本では最近、記者クラブで発表されるニュースをただそのまま伝え、スクープといえば芸能関連くらいしか見ることがなくなったニュース番組ですが、海外のメディアはこのシリーズ以外のドキュメンタリーを見てもリスクを抱えて頑張っているんだなと思います。

作中でもBMWからの訴訟や圧力を避けるために、告発者はかなり気を使っていたり、カルテルの件を扱う記者は家族がカルテルに殺害されているなど、かなり体をはって取材している様子がうかがえます。

最終回などは現職のトランプ大統領の疑惑にも切り込んでいます。
あの大統領、強硬派ですが大丈夫なんでしょうか?

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