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先日の日記「【2020年版】ネットの炎上と対策について」にてネットでの炎上をとりあげました。そこで少しとりあげましたが、ネットの掲示板やブログ、サイトのコメント欄には多くの悪評や誹謗中傷があります

これ、多くの人が匿名の掲示板だから身元はばれないと思って、日ごろ対面では言わないようなことを書き込んでいますが、ネットの匿名性は幻想です。では何故幻想と言えるのでしょうか?

インターネットの仕組み -超概略編-
まずはこの図を見てください。これはかなり簡単にネットの仕組みを表しています。
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■引用元:ネットワークの基本を知ろう!(Think IT)

皆さんが見ているこのブログを含むサイトは、すべてデータセンターもしくは企業が直接運営しているサーバに大本があります。

そうなると、例えば自宅のPCから、ある会社のサーバにあるサイトに移動しようとすると、必ず通るのがルーターであり、ゲートウェイです。
このルーターやゲートウェイには固定の番地が振られています。その番号は、全世界のプロバイダレベルまでふられていて、これをIANAという団体が管理しています。
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■引用元:IPアドレス一覧(株式会社シーマン)

そしてこのデータの通過した履歴は、最低3か月サーバに保管されるように規定があり、更に1年間、サーバより削除されても別の媒体で保管されます。
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■引用元:アクセス・ログを3カ月間保管しなければならない(日経 xTECH)

つまり、悪意のある書き込みを行った本人はどこのだれかわからないつもりで書き込んでも、1年間は法律にのっとった開示請求があれば、いつ、どこの回線から書き込まれたかまでは判明するわけです。

関連する法律
先日の日記「【2020年版】ネットの炎上と対策について」でも触れた「プロバイダ責任制限法 」にて、上で書いた書き込み相手の開示請求ができます。

この法律では、開示請求だけでなく、悪意のある書き込みを放置したプロバイダに損害賠償を請求することもできます。
詳しくは「法律の図解(PDF)」を参照してください。


「名誉毀損と侮辱罪」なども関連してきます。
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■引用元:【図解でわかりやすく】名誉毀損と侮辱罪の要件の違いと慰謝料の相場

他にも「信用毀損罪及び業務妨害罪」なども関連するでしょう。

追跡できない書き込みもあります
例えば「Tor」などの、複数のサーバを経由しながら元のデータをわかりにくくした状態で書き込まれると、特定は困難になります。「Tor」の場合は、文字で書くと「インターネット上でやり取りするデータの保護と送信側と受信側の匿名性を守るため、トラフィックを暗号化された層で隠す」というものになります。
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そしてこの方法をとられた場合、海外サーバを多く経由する過程で、日本の司法が及ばない地域のサーバに開示請求をその国の司法にのっとって行わなくてはならず、追跡が事実上不可能になることがあります。

同様に、掲示板やサイト運営会社が海外に拠点を構え、サーバを海外に置いていると、開示請求が難しくなります。5ch(昔の2ch)もこの方式をとっていましたが、近年ではそれでも開示請求をして、書き込みした本人が逮捕される例が多くなってきました。

いずれにせよ、「Tor」をはじめとする情報秘匿の手段に長けた人々は、ネットの仕組みを知っているので、うかつな場所にうかつな発言はしないような気もします。