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みなさん、巣ごもり生活楽しんでいますか?
最近、巣ごもり生活で新しく趣味を始める人が増えているそうです。

そこで私は新たな趣味として昔落書き程度で書いていたイラストを本格的に学んでみようと、6月末の夜勤中に思い立ちました。そして書籍を漁って練習を7月より開始、それから1ヶ月が経過して思ったことなどを今回は書いてみようと思います。

ネットにあふれる情報について -情報の共通項を探して-
最初に情報収集から開始した私は、書籍の多さと、お絵かきYouTubeの多さ、そしてpixivというサイトのfanboxという月々一定額をイラストレーターに支援する機能を使用しての有料講座など、選択肢の多さに驚きました。いい時代になったものですね。

ただし、大まかな共通項はあるものの、人によっては感性を大切にしてただ枚数を描けばいいという人もいれば、筋肉を覚えないと意味がないという人、コツを覚えて最短ルートを目指そうという人とやはりそれぞれの経験に基づいていろいろなことを言われています。

そこで情報収集を広範囲にして、かなりの数のイラスト関連書籍と2つのfanboxの有料講座、5つのYouTubeのお絵かき動画を見てみました。するとあふれる情報の中にも共通した内容があることに気づきましたので、それをまとめていきます。

このお話をしている私の絵のレベル
最初にこれを描かないと、この日記を参考にしていいかわからないと思いますので、1カ月前の状態を箇条書きでまとめました。

・正面と右向きの顔は描けるが絵柄が古い
・立ち絵は描けるが、それ以外のポーズではデッサンが狂う
・手先と足先をうまく描けない

これをみたらわかると思いますが、初心者の当たる最初の壁で見事につまづいていた感じです。

絵の才能についての考え方
この才能について、言及している本は多くありました。
その中で共通して言っているのは、絵は才能よりも理論に基づいた努力であるということでした。

これについては、ダテナオトさんの「考え方で絵は変わる ~イラストスキル向上のためのダテ式思考法~」という本が参考になりました。
この本の中で、こんな図があります。
datenaoto
そう、絵って学問なんですね。

あの葛飾北斎も、コンパスを使って富嶽三十六景を描いていたようですし、ダヴィンチもウィトルウィウス的人体図をはじめとする人体の構造のスケッチを多く残しています。天才と言われる人も理論をもとに描いているんですね。

上達に必要な練習方法
絵を構成する要素をわかりやすくまとめた図があります。
下の図はダテナオトさんの「考え方で絵は変わる」より抜粋したものです。
datenaoto3

ここでいうデッサンとは、例えば身近にあるもの(3次元)を見て、それを絵(2次元)に描くことです。いわゆる絵画教室でやったり、学校では写生大会のようなときにやる奴です。

模写は絵を文字通り目で見て復元すること。
お気に入りのイラストレーターの絵を見て、自分で書いてみるのは模写にあたります。
例えばキャラクターの練習のみのためにデッサンするのであれば、自分の手や足を見てそれを紙に書いてみるのがデッサン、これを写真で撮影してみて絵にしてみるのは写真模写になります。

この図を見てわかるかと思いますが、それぞれ目的が異なります。
多くの方がデッサンと模写は双方やらないと絵の向上は難しいと書いています。


吉村拓也のイラスト講座」(pixiv)や「イラスト解体新書」などのイラストを仕事にしている人の提供するコンテンツでは、わかりやすくこうすると絵がうまく見えるというコツを教えてくれます。
これらを活用すれば、デッサンの練習量を減らしても、写真やイラストの模写はある程度できるようになると思います。

そのために必要な知識として、多くの参考書があげているのが、筋肉を覚えることです。
細かい部分はいいので、表皮に一番近い大きい筋肉のつき方を覚えると、例えば模写したいイラストの足や手のふくらみが何故必要なのかが理解できます。

この考え方の元、現在は練習を進めています。


模写について -写真模写とArtPose Proとグリッド法の活用-

多くのイラストの参考書に共通して言えるのは、立ちポーズでの人体の比率は書いてあっても、そこから例えば前かがみになるなどして比率が通用しなくなった時、どうすれば良いのかという方法論にアタリを使ったポーズの割り出し方を推奨しています。

下の図は「デジタルイラストの「身体」描き方事典」に掲載されているものです。
左が一番大雑把なあたり、右はこれに肉付けしていったものです。
あたり

でもこのアタリ、複雑なポーズになると結局自分の脳内でアタリを立体で想像して描かなくてはなりません。でも初心者と呼ばれる我々が、そんなイメージできたら苦労しません。
そこで便利なのが「ArtPose Pro」というソフトです。「Easy Pose」というのもありますが、こちらは筋肉の状態がわからないので、「ArtPose Pro」をおすすめします。ちなみに私は両方買って試してみました。iOS版とPC版それぞれありますので、お好きな方を導入してみてください。

下の画像は、「ArtPose Pro」で練習用に使用したものです。こうやって画像として出力もできます。
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今はこれと、「写真から描き起こすマンガデッサン」という本を併用しています。
この本、発売は2010年と少し古めですが、何故これを使うかと言いますと、写真を見てイラストに落とし込むコツが書いてあるからです。

写真からイラストへ落とし込む練習はダテナオトさんの「イラスト解体新書」でも、項目の一つにあげています。また「吉村拓也のイラスト講座」でも、手を見てデッサンしたり、それを写真にとっての模写をすすめています。


今私がしているのは、この2つ、「写真から描き起こすマンガデッサン」と「ArtPose Pro」を組み合わせて、本のモデルと同じポーズを「ArtPose Pro」で作成し、筋肉がどうなるのか確認しながら写真模写をしています。


これに更にグリッド法を併用しています。
グリッド法とは、格子状にガイドラインを敷いて、その中に模写対象を入れることで、模写した時のずれが把握できるという練習方法です。

下の図はダテナオトさんの「考え方で絵は変わる」より抜粋したものです。

datenaoto2

この方法では、自分が模写した対象とのずれを認識できるので、短期間に癖を矯正できます。
私はこの一カ月で、自分が気づかなかった腰を細目に書いてしまう癖と、胴がデフォルメされていない写真よりも若干長くなる癖に気づきました。

写真模写のメリット、デメリットについて

メリット

大きなメリットとしては、パースが狂った絵を模写することで変な癖がつかないことですね。
これは個人のブログに書いてあったんですが、うまいイラストレーターでもパースが狂っていることはあります。これはイラストの性質上、デフォルメや意図的な誇張によってパースが狂っていたり、そもそもパースがおかしい参考書なんかもあるとのことでした。

また写真は動かないので、ゆっくりと模写できるという利点と、既に平面化されているので、絵に描いたらどうなるんだろうと考えなくても良い点が挙げられます。
とはいえ、立体を想像しながら模写しないと、上達はしませんけど。

デメリット

人物イラスト程度では問題になりにくいですが、大きな風景画などの模写の場合には、レンズのゆがみが画面のふちにでてしまいます。

模写の後にすべきことについて
模写元と自分の模写がどの程度ずれているのかを確認する作業が必要となります。
そしてできるならそれを文章で残すようにするのが良いそうです。

といいますのも、文章化することで自分の中で修正すべき点を明確化し、後で振り返った際にも今日の反省点を容易に振り返ることができます。

練習の方法について注意点

一つの絵を最後まで完成させる

例えば手先がしっくりこない、なんかバランスがおかしいなどした場合に、そこでやめてしまうのは一番ダメな方法だと多くの人が語っています。最後まで完成させた絵を振り返って次に活かすことが大切だそうです。

手癖でかかない

慣れた構図ならアタリを描かずにいきなり描いたりするのはダメだそうです。そもそも絵を練習するのは、画力を向上させたいからで、そのためにはちゃんと立体的に正しい絵を描く必要があります。プロの絵師も、画集などを見るとアタリをとっているのがわかります。自己流を捨てて、謙虚に方法論を学んでいくのが大切です。

習慣化するまで続ける

一つの行動が習慣となるまでに66日かかると言われています。
※平均値。簡単なものは短く、複雑なものは長くなる傾向があります
絵を毎日30分づつでも良いので、必ず1体描く習慣をつけることは、複数の人が本にも書いています。まずは絵を描く習慣をつけましょう。


おすすめの参考書

1冊目におすすめしたい本



写真とそれを基に書き起こしたイラスト、そのイラスト化の時の注意点が書いてあります。個人的にすごく参考になっています。

多くの人が推奨している本です

イラスト解体新書
弐藤 潔
マイナビ出版
2018-03-22

この本は多くのサイトでお勧めと書いてありました。実際に見てみると、私のように一定のポーズが何となくかけるけど何か変という人向けに、どこがおかしいのか、どうすれば改善するのかが書いてあります。キャラの絵だけでなく、構図についても書いてあります。

誰も推奨していませんけど、動きのあるポーズも多く、私は参考になっています

マンガの基礎デッサン セクシーキャラ編 (マンガの技法書)
林晃(Go office)
ホビージャパン
2015-07-31

なぜこれを推奨するのかと言いますと、衣装が薄いからです。衣装が薄いとボディラインが把握しやすく、模写するのに向いています。ラインがわかりにくい衣装を着た参考画が多い参考書は意外に模写の時にアタリをとるのに苦労しました。これはそんな苦労をしなくても、ボディラインがでているので模写向きです。

筋肉の動きを知るのにおすすめ


この本は筋肉の動きが解説されていますので、筋肉とイラストを関連ずけて効率よく学べます。ポーズも一般的な参考書より動きがあるものが多いので、躍動感のある絵が描きたい人にお勧めです。

アタリから線画を完成させるまでの過程がわかりやすい


この本はあたりから完成までの間の過程がわかりやすいです。イラストの参考書、最初だけあたりから完成まで細かく段階踏んでいるものは多いのですが、途中からある程度のあたり1枚と完成図しか載っていないというパターンが多い中、途中経過がわかるので、参考になります。

自然な絵や、動きのある絵を描きたいときの参考に

アニメーターが教えるキャラ描画の基本法則
toshi
エムディエヌコーポレーション
2016-01-22

この作者「toshi」という方は、他にもイラスト本をだしていまして、「ゼロから学ぶプロの技 神技作画」なんかもおすすめなのですが、この本をあえておすすめしたいのは、絵が自然に見える技に特化した本になっているからです。私のような初心者の絵って硬くなりがちですが、それをいかに自然に見せるかに重点を置いています。
また写真も所々に使用していて、写真模写もしていました。

髪の毛を自然に書くための本です

デジタルツールで描く!キャラクターを引き立てる髪の描き方
スタジオ・ハードデラックス
マイナビ出版
2016-08-10


服のしわに関する本は多くありますが、髪の毛に特化した本は少ないかと思います。作者さんの絵柄が少女漫画よりなんですけど、髪型に関してはどんな絵柄の方でも役立つかと思います。

服のしわのよりかただけでなく、着方やシーンまで解説している便利な本

童貞を殺す服の描き方 (一迅社ブックスDF)
ポストメディア編集部・編
一迅社
2016-08-26

服のしわに特化した本は数冊ありますが、この本は他の本にはあまりない、更衣の途中経過などものっています。また服を着て想定される動きでうまれるしわについても解説があり便利です、タイトルがアレですが、中身はしっかりしています。

絵の描き方は一切載っていませんが、心構えと理論を学べます


この本は「イラスト解体新書」を書いたダテナオトさんの本です。著者はイラストを教えているプロの指導者でもあります。この本は、効率的に絵を学びたい方向けです。昔からとにかく絵は数を書けばいいという風潮がありますが、そうではなくって、しっかりと理論を学んで目標をもって絵を描くことでより効率的に絵は上達できるというメッセージが書いてあります。とはいっても、やっぱり絵の上達には近道はなくって、地道な練習は必要ですが、それを少しでも効率的にしたい人向けの本です。

まとめ
長々と書いてきましたが、多くの絵のうまい人はそれなりに努力をし、自分なりの絵の描き方を確立しています。
また「考え方で絵は変わる」からの引用になりますが、下の図のなかで大切なのは「始める才能」と「続ける才能」、「楽しむ才能」だと思いますし、本でもそのような記載があります。
ダテナオト2

そして私のように一度挫折した人間にとって、再び絵を描こうとするのは勇気のいる行為かもしれません。下の図にもあるように、現実を受け入れるところから始めないといけませんしね。
ダテナオト1

でもこれで商売をしようとかは思っていませんので、気楽に、趣味として最終的に日常の何気ない風景が描ける程度にまで画力を伸ばしていきたいと思っています。