新型コロナウィルス(COVID-19)でネットが重たくなった?
先日、妻の実家のノートPCがネットにつながらなくなったということで、確認しに行くと問題なく動作しました。その時にWifiの電波状況を確認すると、時折電波が弱くなるタイミングがあったので、これが原因かなと思って、そのように説明しました。しかしここ数日、我が家のPCもネットが一時的に重くなる現象がでるようになってきました。
そこで、ひょっとして新型コロナウィルス(COVID-19)の影響でネットワークのトラフィックが増加しているのではないかという仮説をたて、調べてみました。
実はトラフィックの増加は3月頃から始まっていた
「INTERNET Watch」によれば、既に3月2日を境にトラフィックの増加ははじまっていたようです。このトラフィックの増加は、2月26日から電通や資生堂などの大手企業が大規模なリモートワークを開始したことで、まずは平日の昼間のトラフィックが大きく増加したようです。
グラフは2/17より1週間ごとの期間でのトラフィックの推移を表しています。
緑色の線(3/2~3/8)と、青色の線(3/9~3/15)が他の色の線よりも上に抜けているのがわかります。
時間帯的には朝仕事開始時間と共に一気にトラフィックが増加し、普段のピーク時のトラフィックとほぼ同等のデータ通信量が深夜まで続いています。
この3月2日以降の増加量は平日1日全体では、アップロードで6%、ダウンロードで15%ほどにのぼるそうです。
これに伴い、通信障害の発生件数も増えているとの報告が「ThousandEyes」というサイトにありました。
下の図は一番左が2月10日の週、一番右が3/16の週のインターネットサービスプロバイダーの障害発生件数の集計データです。
3月11日、3月18日、3月20日には大規模通信障害が発生していたようで、米amazonなどの大手サイトへのアクセスが一時的に遮断されました。
特に3月20日の障害は、下図のように特に先進国で大規模に発生しました。
その原因は、DNS解決(名前解決)がトラフィックの急増で一時的にできなくなったからです。
その発生のしくみは下の図を参照してください。
ようするに、あまりにデータのやり取りが増えたので、ネットワーク上でデータを誰から請求されてどこに送ればいいのかが一時的にわからなくなったのがこの障害の原因でした。
この記事の締めくくりでは、現在のネットワークの想定しているトラフィックを3月以降度々超えてきているのが一連の通信障害の原因であると結論付けていました。
■引用元:INTERNET Watch
■引用元:ThousandEyes
■引用元:@IT
欧州では既にネットワークが飽和状態に
特に3月20日以降、欧州での感染の爆発的な拡大とともに、トラフィックの増加が著しいようです。英国Vodafoneは、3月20日以降に英国内でインターネット利用が30%増加、その他サービスを展開している地域(欧州内15か国)でも最大で50%の増加がみられたとThe Guardianが報じています。
スペインでは先日の外出禁止令以降、固定トラフィックが約40%増加、モバイル端末からのインターネットへのアクセスは25%増え、通話も50%増加したと報じされています。
同様にイタリアでも固定のトラフィックが70%増したようです。
その結果として、YouTubeは画質を強制的にSD画質に落として配信することを決定しました。
まだ他の動画ストリーミングサービスに追従の報道はありませんが、今後他社も追従することが想定されます。
■引用元:ASCII.jp
新型コロナウィルス(COVID-19)で広がる、通信の混乱
これらのニュースを見る限り、今後スマホやPCからネットを見る時に重いと思ったら、それは目的のサイトが遅いわけではなく、そのバックボーンにあるネットワークインフラが限界を迎えつつある可能性があります。これは今回の混乱が収束するまで続くと思われますので、その時にむやみに更新を連打しない方がいいでしょう。
渋滞しているデータが余計に届かなくなる可能性があります。
とりあえずしばらくは反応悪くても気長に待つ心構えが必要なようです。