改正著作権法が与える影響 -ネットからの引用はどこまで許される?-
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当初(2019年度)の文化庁の案
当時のニュース記事によれば、「権利者の許可なくインターネットに上げられたと知りながら漫画や写真、論文などをダウンロードすることを違法とする」法案とあり、このダウンロードの適用範囲があいまいであったことと、元々この法案提出の要因となった海賊版の漫画だったのですが、漫画家自体がこの法案を望まないと強く声をあげたことにより、法案提出は見送られました。この最初の法案は、対象が違法DLサイトだけではなく、全ネットユーザーだったことと、個人のブログやツイッターにも一切の画像の引用を認めない内容でありました。
2020年度版 改正著作権法 -審議中の仮案-
下の図は2020年の1月末に出た日経新聞よりの抜粋です。■引用元:ダウンロード規制 法改正へ方針決定(日本経済新聞)
2020年1月7日に行われた著作権法改正に関する検討会の第3回会合では、上記のような内容でまとまりました。
この案では、対象範囲がこっそりと拡大されています。
前回の2019年の法案提出時に大きな批判を受けたので、2019年11月27日に開かれた文化庁の有識者会議では、著作権侵害物が付随的に含まれるスクリーンショットや、漫画作品のうち数コマのように分量の少ないダウンロードは違法としない案を議論のたたき台として示しました。
しかし今回の案では、ツイッターやFacebookなどのSNSからのダウンロードについても規制される一方、ストリーミング型の違法サイトからのダウンロードは対象に含まれていません。
今後のネットユーザーに起こりうること
今回の法案は、その範囲の規定が大変あいまいであり、恣意的な運用をしようと思えばできる内容です。そしてツイッターなどのSNSに範囲が拡大されたことで、例えば面白い雑誌の記事を見つけて1ページを撮影し公開すると、これが違法という扱いになってしまいます。
好きな漫画の1ページを紹介したとしても同様です。
ですからこれからネットで何かを発信しようとすれば、気を付けないと、知らない間に違法な画像と認定され、最悪訴訟に発展する恐れがあります。
まだ法案は提出されていませんので、この内容は確定ではありませんが、今後注視していく必要がある法案だと思います。
■参考:「特別な事情」を対象外 DL違法化、著作権法改正案概要(時事ドットコム)
■参考:スクショ違法化の対象、「特別な事情」も除外へ 自民案(朝日新聞WEB)